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――甘い、幻想。
宝石箱-エクラン-では一番古参。
純正の幻想ということをとても誇りに思っている。
美しいだけの女は、誰よりも美しくあらねばならない。
――SiO2・nH2O
いつから此処に居るのか。其れは彼女にも分からない。
覚えているのは、暗く輝くエクランの一番底で、ひとり、光へと手を伸ばした事。
目覚めた事は、幻想として生まれた事は、存在が認識できた事は、誘惑に負けてしまった青年の「夢」だったのか。
其れとも終わりへの赦しだったのか。
タンタに気が付いた彼は、少しだけ救われた顔をした。
そして、遥か古の刻に見せた後悔と、懺悔に塗れた顔で、見つけたばかりの希望に言った。
「君は僕の様に穢れないで呉れ」「永遠に美しいだけで」
穢れなき処女は、主のその言葉を永遠に刻んでいる。
彼に合わせて、姿かたちも少女の儘に。
――タンタは森の中、心の美しい少女「Maria-belle」に出会う。彼女は私が見える。彼女は主を愛してくれる。
高めに結んだお揃いのツインテール。ずっと彼女とお喋りがしたい。こんな気持ちは初めてだった。
主に従順だったタンタは、ひとつだけ我儘を言った。
愛と魅力に溢れる、希望のピンクオパール
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