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――夜に、揺れる。
不老不死の血と未曽有の力。永遠と破壊という相反運命。
強欲な人間どもの欲望の具現化とも言える究極の幸運。
それは彼にとって呪いでしかない。
――C
【Douglas_Reynolds】は、反応を示さなかった。
それも当然か、とも、思う。
「どうしてあの日のままなのか」と、問い詰められた方がはるかに面倒だ。
――彼が幼い頃、彼の故郷の森の中で、会った事がある。
両親を早くに亡くした幼い兄妹は、傷だらけの自分を介抱しようとした。死にはしないのに。馬鹿らしい。
ひとひねりで殺せる。不憫で可哀相な子どもたち。
この血に触れそうな細い手を、思い切り、振り払った。
それでも伸ばしてくる、ふたつの善意と好意。
どれだけ冷たくしても、僕に世話を焼いた兄。
つまらない、僕のむかしばなしを聞いた妹。
助ける事は出来ない。けれど、悪いようにはしない。
君たちの、ささやかで、欲の無い望みが叶いますように。
何時ぶりか。呪いを、祝いに、してあげる。
そう、これは、永い時間を持て余した、いつもの気紛れ。
幸運は呪いへと
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